ストレス対処法として発展、世界に広まるMBSR


マインドフルネス・ストレス低減法(Mindfulness-Based Stress Reduction, MBSR)は、ジョン.カバットジン博士が開発したストレス対処法です。
1979年、マサチューセッツ大学医学部に創設された「ストレス低減クリニック」(現:医療・ヘルスケア・社会のためのマインドフルネス・センター)にて、当初は慢性疼痛に悩む患者を対象に実施されました。その効果について科学的に効果が実証されるとともに、世界各地の病院やクリニック、瞑想センターなどで実施されるようになっています。1990年代には、MBSRと認知療法を組み合わせたマインドフルネス認知療法(MBCT)が生まれ、うつ病の再発予防についての効果が実証されています。


ヨーガや禅など東洋の行法から発展


MBSRのベースになっているのは、ヨーガや禅の行法です。こうした東洋の行法を象徴する言葉が「マインドフルネス」であり、もとはパーリ語の「サティ」を英訳した言葉です。英語では「注意する」「気をつける」という意味で、漢語では「念」、日本語では「気づき」と訳されます。J.カバットジン博士は、マインドフルネスを「今ここでの経験に評価や判断を加えることなく、能動的に注意を向けること」と定義しています。
このマインドフルネスは、現在では様々な心理療法に取り入れられ、「行動療法の第三の波」とも言われ、世界的に注目を集めています。


5種類の瞑想プログラム


MBSRは、大きく分類すると5種類の瞑想法から構成されています。
1.呼吸瞑想:呼吸に注意を集中。
2.静座瞑想:呼吸から全身、音、感覚、思いや感情に注意を集中。
3.ボディースキャン:つま先から頭まで順番に注意を集中
4.ヨーガ瞑想:動作のなかで身体に注意を集中。
5.生活瞑想:日常の生活動作に意識を集中(歩行、食事など)。
MBSRでは、こうした瞑想を通じてストレスとの上手なつきあい方を身につけて行きます。痛みや苦しみ、不安、悩みなどに振り回されず、今この瞬間瞬間を充実して生きていくための方法がMBSRです。

 

ジョン・カバットジン博士

ジョン・カバットジン博士(Jon Kabat-Zinn)

マサチューセッツ大学医学部名誉教授。
1944年ニューヨーク生まれ。父は分子生物学者。
大学で教鞭を取りつつ、如何に生きるべきかの苦悩から、1966年頃に坐禅やヨーガに取り組み始める。
1971年にマサチューセッツ工科大学、ノーベル賞受賞者のサルバドール・ルリアの下で分子生物学の学位を取得。
1979年、洞察瞑想の研修会での体験から、当時東洋の宗教と考えられていた瞑想やヨーガを、万人のためのものとして活用すべきであると一念発起。マサチューセッツ大学医学部に「ストレス低減クリニック」(現:医療・ヘルスケア・社会のためのマインドフルネス・センター)を開設し、マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)のプログラムを、慢性疼痛の代替医療として実施し始める。このプログラムは、1990年に著書「マインドフルネス・ストレス低減法」が出版された際に、技法としてまとめられた。
なお、クリニックは1995年に「医療・ヘルスケア&社会におけるマインドフルネスのためのセンター」と改称、2000年以降は同僚だったサキ・サントレリーに引継がれた。
その後カバットジンはマサチューセッツ大学医学部の名誉教授となり、今はMBSRの普及のために、世界中を渡り歩いている。
MBSRはいまや医療、心理療法、教育、企業、スポーツとあらゆる分野に適応され、普及されている。
また彼自身は現在、ダライ・ラマ法王の下にある、マインド・ライフ研究所の主要メンバーとしても活動している。